悪魔くんとナイショで同居しています
「悪魔は……人前に現れる時は、この世の者とは思えない美しい風貌で現れる?」
ふぅん……この世の者とは思えない美しい風貌、ね。
確かに本に描かれているイラストは美しいけどね。
「その甘いマスクで人間を引き寄せ、言葉巧みに魔界へと誘う…かぁ」
本当にそんなものが現れるのかな?
「まさか、ね」
絶対にない。
悪魔だなんてそんなもの、いるはずがないんだから。
そう思っているのに、悪魔を召喚すると笑った次咲くんの顔が頭から離れなかった。
「うーっ……やっぱり気になるなぁ」
暗がりの中時計を見上げると、もう時期日が変わる時刻をさしていた。
眠れない。
次咲くんが気になって眠れない。
本当に悪魔の召喚術を行なっているのかな?
ちょっとだけ……ちょっとだけ覗いてみようかな。
学校はすぐ側だし……ほんの少し見て帰るだけ。