悪魔くんとナイショで同居しています




「聞いてんのか?早くしなきゃ灰になるぞって」

「あっ!そうだった!」



誰が犯人とかそんなことはこの際どうでもいいや。



とは言え……

火花を散らしながら燃え盛る、炎の中に手を入れるのは無理そうだ。



「でももう靴を探すことは出来ないかな。あはは……」



また涙が込み上げてくる。



「あぁ、そうかそうか。人間は火を触れないんだったな」

「……火傷しちゃうから」



ん……?

その口ぶりだと、悪魔は火に触れるっていうの?



「えぇぇえぇっ?!」



その疑問をぶつけようと口を開いた時、思わずそんな声が出てしまった。



アーラが平然とした表情で、焼却炉の中に手を入れていたからだ。

全く熱がる素振りもない彼ら悪魔は、やっぱり火に触れても平気みたいだ。



「ほら、やっぱりあった」

「はは……ありがと」



炎に包まれた何かを差し出されたけど、もはやそれが靴なのかさえ分からなかった。




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