悪魔くんとナイショで同居しています
枕もとに転がる分厚い本を掴み、抜き足さし足忍び足で家を出た。
外は当然ながらに真っ暗だ。
幽霊やら不審者やら、色んなものに恐怖を感じながら夜道を走った。
「あ……」
苦労して校門をよじ登り、校庭に走るとそこにはやっぱり次咲くんがいた。
いた。
まさか本当にいるとは思わなかったよ。
「奏ちゃん。本当に来るとは思わなかったよ」
次咲くんは足音だけで誰が来たのか分かったみたいで、振り返りもせず声をかけてきた。
長い木の棒を持ち、ぐるぐる何かを書いている彼は……言った通り悪魔の召喚術を行うみたいだ。
「それ、何を書いてるの?」
描かれた物が大きいからか、それが何か全く分からなかった。
「これはね、魔法陣だよ。五芒星を書いてね、それをぐるっと円で囲むんだ」
「………へぇ」
やっぱり次咲くんはおかしいよ。
無気味に笑う横顔を見ていたら、寒気さえしてきた。