悪魔くんとナイショで同居しています
「奏ちゃん。何か起こっても絶対に声をださないようにね。今から召喚する悪魔は力の弱い低俗悪魔だけど、悪魔は悪魔だからね」
「はぁ……うん、大丈夫」
「盗み見たことがバレたら殺されるからね。なんなら逃げたって構わないんだよ?」
いらないよそんな注意事項。
どうせ何も起こりはしないんだから。
逃げるまでもないってば。
次咲くんはニコリとぎこちない笑みを向けた後、くるりと背を向けた。
絶対に何も起こらない。
はずなのに……なんだろう。
さっきから悪寒が止まらない。
静寂な空気の中に、ビリビリとした何かが感じとれる。
次咲くんも何かを感じとったのか、その表情からはいつの間にか笑顔が消えていた。
何だか嫌な予感がする。
やっぱり今すぐ帰ろう!
そのいいようのない恐怖に耐えられなくなり、腰を上げた時だった。
一瞬、ほんの一瞬空が光ったような気がした。