悪魔くんとナイショで同居しています
しっかし……
本当に悪魔の力なんて備わっているのかな?
結局放課後を迎えるまで、一度もその力を使わなかったけど……
だんだん気になってきた。
校庭を歩きながら自分の右手を見つめた。
「あっ、そうだ。お母さんにまた買い物頼まれてたんだった」
手の甲に書いてあった、牛乳とにんじんの文字が目に入り思い出した。
今日は最寄りのスーパーでタイムセールがあったんだった。
紗千と仲違いをしてしまって以来、放課後に遊びに誘われることは全く無くなってしまったし……。
前は嫌だった買い物も、暇潰しにはいいかもね。
「ん……?」
スーパーまで急いでいると、差し掛かったコンビニの前で次咲くんの姿を見つけた。
離れていても分かる……あの独特なキノコ頭。
線の細いスラリとした体型に、妙にデカい黒縁メガネ。
うん、次咲くん以外の何者でもないでしょう。
「次咲く……」
声をかけようかと思ったけど、咄嗟に口を噤んだ。
ペットボトルをカゴに投げ入れ、自転車に跨ろうとする次咲くんの肩を、田村くんが叩いたから。