悪魔くんとナイショで同居しています
園山くんには悪いけど……。
財布も取り返せたみたいだし、どうにか作戦が成功したってことかな?
次咲くんもさり気なくその場を離れようとしているし……。
私ももうスーパーに行かなきゃ。
未だに立ち上がれないでいる園山くんと、バラバラになった自転車から視線を外した直後だった。
「あぁっ!お前ら……この自転車泥棒が!」
怒声を張り上げながら、どこからともなくお爺さんがやって来た。
「あっ、やべっ!」
お爺さんの存在にいち早く気付いたのは田村くんだった。
慌てて自転車に跨ると、
「力士!早く逃げろ!」
地面にへたり込んだままの園山くんに声をかけ、一目散に逃げて行った。
なに……なんなの?
園山くんが乗っていた自転車は、本当はあの威勢の良いお爺さんの所有物ってこと??
「やべぇ……」
「こんのクソガキが!許さんぞ!わしの自転車を盗んだ挙句、こんなにしおって!」
あ、すみません……。
それ壊したのは私なんですけど……。
逃げ遅れて捕まった園山くんの背中を見ながら、心の中で謝っておいた。