悪魔くんとナイショで同居しています




「ごめんね、アーラ。でも、アーラがくれた力のお陰で次咲くんの財布を取り戻せたし。自転車をお爺さんに返すことも出来たんだよ」



結局……壊してしまったんだけどね。



とりあえずそこは除外して、二人を助けることが出来たんだから。

それって、アーラに感謝しなきゃだよね?



「ありがとうってか?言うな、そんな胸糞悪いこと」

「え……そう?」

「聞きたくもない」



悪魔は感謝されても嬉しくないのかな?

喉まで出かかった言葉を、咄嗟に呑み込んだ。



「あーっ……クソ!なんだよお前。お前みたいな人間は初めてだ」

アーラはイライラした様子で吐き捨てると、一瞬にして姿を消してしまった。



うわぁ……また怒らせちゃったなぁ。

こうなると、この後顔を合わす時が緊張するんだよぉ。



ってか、瞬間移動も出来るんだ……。

恐るべし……。



「はっ!もうこんな時間じゃん!明日起きられないよぉっ」



枕元の目覚まし時計を定位置に戻し、慌てて布団に潜り込んだ。



園山くんの行く末と、憤慨したアーラが気になるけど……。

胸の高鳴りを抑えることが出来ないまま、暗闇の中で固く目を閉ざした。




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