悪魔くんとナイショで同居しています




遅刻ギリギリで登校すると、いつもいるはずの園山くんの姿が無かった。

クラスメートの男子達の噂話がちらりと聞こえたけど……



「力士がさぁ、自転車泥棒で捕まったんだって〜」

「聞いた聞いた。つーか余罪もごろごろ見つかったんだろ?」

「まじ?ヤバくね?じゃあアイツどうなるの?」



とかなんとか……聞きたくなくても聞こえるくらいの声量で言っていた。



「ふん。ざまあみろだね」



その話をそっくりそのまま次咲くんに伝えると、涼しい顔でそんなことを呟いた。



「でも……大丈夫かなぁ?」



だって、園山くんを転倒させたのは私だもん。

そのせいで彼が警察沙汰になって、しかも退学の危機とくれば……。

罪悪感が半端じゃない。



「奏ちゃんは優し過ぎるよ。因果応報でしょ?全て園山が撒いた種なんだから、当然の結果だよ」



そう……なのかなぁやっぱり。

私が園山くんを転倒させなければ、こんなことにはならなかったんだよ?



でもあの時ああしなかったら、次咲くんの財布は奪われたままだし、お爺さんの自転車も盗まれたままだった。



「因果応報……かぁ」



うーん、難しいなぁ。




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