悪魔くんとナイショで同居しています
「それより奏ちゃん。カレーが冷めちゃうよ。それに早く食べなきゃ昼休みが終わるよ」
「あっ、うん。そうだね」
次咲くんの手元を見ると、焼き鯖定食が綺麗に無くなっていた。
それでも席を立たず隣にいるってことは、私が食べ終わるまで待ってくれているんだろう。
「佐々原だけどさ」
「ん?佐々原くん?」
と言えば、イジメっ子のリーダー格で……。
友達の垣内くんに彼女を取られ、謹慎中に田村くんに扮したアーラに殴られて。
それなりに……いやかなり不幸な、佐々原くん?
「退学するんだってね。今日、謹慎があけた垣内が周囲に漏らしてたよ」
「そうなの?!」
「うん。大悪魔様にやられたのが、相当効いたみたいだね。多分田村に会いたくないんでしょ」
そりゃあ……格下だと思っていた相手にあれほどやられたらねぇ。
そう思うのも無理はないかも。
でも、次咲くんなんだか嬉しそうだなぁ。
だって珍しいくらい笑顔なんだもん。
それもそのはず……イジメの主犯格がいなくなるんだもんね。