悪魔くんとナイショで同居しています




「おいテメェ。何を無視してくれてんだよ」

田村くんがアーラの肩を掴んだ。



「あっ、田村くん!それはっ……」



あわわわわ、マズイよマズイ!



肩を掴まれた瞬間、アーラの表情が変わった。

彼の背中しか見えない田村くん達には、その変化が分からないようだけど……。

私には分かる、だってアーラは目の前にいるんだもん。



「痛いなぁ……離してもらえないか?」

そう言った口元は笑って入るけど、目が笑ってない。



「あっ……あーっ!そうだったそうだった!早く授業に行かなきゃあっ……!」



このままじゃ死人が出てしまう!

アーラから放たれる殺気を感知した私は、意を決して駆け出した。



アーラの腕を掴み、全力で。



「あ……おいっ!」



後方から田村くんの声が聞こえる。



早くこの場から離れなきゃ!

そして出来るだけ遠くへっ。



「……どこに行くつもりだ?」

「へ?あっ……」



アーラの腕を強く掴んだまま……。

無我夢中で走ったからか、いつの間にか校外に来てしまっていた。



横を向けば、そこは通学時によく目にする川が流れていた。




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