悪魔くんとナイショで同居しています

触れる唇





「よぅしっ!次はアレにしよう!」



遊園地、そしてデートとくれば次はこれでしょう!

ジェットコースター!

絶叫マシンは大の苦手だけど、これならアーラも何かしら反応を示すはず!



そう思っての選択だったんだけど……

「これは……なんだ?」

ぐんぐん上昇する高度よりも、何やら身を守ってくれているセーフティバーが気になる様子。



「いやいやっ、違う違う!前、前見て前前前っ!」

ほらほらっ、もう間もなく急降下するからぁっ。



「前がどうした?」

アーラがそう問いかけてきた直後……。



「ぎっ……ぎゃぁぁぁぁあっ!」

「なんだよお前!いきなりデカイ声出してんじゃねーよっ」

「ひぎゃぁぁぁぁあっ……」



目まぐるしいスピードで、下降昇降を繰り返すジェットコースターにも……

私の勇気も虚しく、最後までアーラは何の反応も示さなかった。



うぅぅ……。

せっかく勇気を振り絞ったっていうのに。



「お前の声が耳障りで不愉快だ」

「……すみません」



挙句、怒られちゃったし。

もう踏んだり蹴ったりだよ……。



乱れた髪型を直していると、アーラが歩き始めた。



「ま、待って……!」



慌てて後を追いかけると、

「帰る」

アーラは振り返りもせず、そう言い放った。




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