悪魔くんとナイショで同居しています
思い返してみれば……。
熱くもなければ痛くもない。
って焼却炉の前で言っていた気もするし……。
心配しなくても、人間如き下等生物の戯れ言なんかにいちいち反応しねぇよ。
って土手沿いで言っていたような気もする。
「つーか人のことより自分の心配しろよ。すげぇ血がでてるけど」
「あぁ、うん……。これはね、いいのいいの」
「何がいいんだよ」
アーラにボールが当たらなかったから。
鼻血をティッシュで拭きながら答えると、アーラは不満気に眉を寄せた。
「お前、本当に変な人間だな。自らが痛い目にあってんのに普通笑うかよ」
「あはは……ごめん。でも私は大丈夫だから」
「やっぱり馬鹿だな、お前」
アーラは呆れたように、深いため息を溢した。
そして何を思ったのか、顔の前に大きな手のひらを向けてきた。
「アーラ……何を?」
このまま頭を掴まれて、軽々投げ飛ばされると思い目を閉じたけど……。
そんな気配は一向になくて。
それどころか手のひらから、温かく優しい光が放たれていることに気が付いた。