悪魔くんとナイショで同居しています





「好きっていうのはね、一緒にいたいとか守ってあげたいとか、そういう……相手を大切に思う気持ちのことだよ」

「んなもん知らねぇよ。そんな感情なんて抱いたこともない」

「その気持ちを持てないなら、麻里子ちゃんを受け入れたら駄目だよ。悲しませるだけなら近付かないようにしてあげてよ、お願い……」



なんて……ついつい、説教みたくなっちゃったけど。

アーラに向かって、自分でもなんて事を言ってしまったんだろうと思う。



うん、逆鱗に触れることは間違いないだろうな。

うぅ、私の馬鹿。

生意気に説教なんてするから、怖くて顔が上げられなくなっちゃったじゃない。



「って、あれ?」



恐る恐る顔を上げると……

いつの間にか、忽然とアーラの姿が消えていた。



「……なーんだ。聞いてなかったのかぁ」



嬉しいやら悲しいやら……。

複雑な気持ちを抱えたまま、誰もいない屋上から離れた。




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