悪魔くんとナイショで同居しています





痛みと悲しみで涙が溢れてきた。

そんな時だった。



「わぁぁぁあぁあぁあああっ!」



スクールバッグを振り回しながら、次咲くんが走ってきた。



「ちょっ!何だよコイツ!」



麻里子ちゃんが振り下ろされたバッグを避けた瞬間、頭皮を駆け巡っていた痛みが消えた。



あぁ……助かった。

頭、ハゲたりしてないよね?



次咲くんは荒々しく息をしながら、

「奏ちゃんは僕が守るんだ!」

見たこともないような強い眼差しで、聞いたこともないような強い口調だった。



麻里子ちゃんを筆頭とするギャル達は、



「なんなのコイツ。マジでキモイんだけど」

「次咲テメェ調子に乗るなよ」

「ヒョロガリのくせに何が出来るんだよ」



なんて耳を塞ぎたくなるような罵声が飛び交う中でも、私の前に立ちはだかって退けようとはしなかった。



「うっ……うるさい!けっ、ケバいんだよお前らっ」



わぁぁ、次咲くんっ。

なんて怖いもの知らずな発言を……。



って、足めっちゃ震えてんじゃん。

実はめっちゃビビってんじゃん。




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