悪魔くんとナイショで同居しています




「えっと……あの、どうしたの?」



一緒に帰ろうだなんて怪し過ぎる。



「別に?お前の顔が見たくなっただけ」

「えっ?!」



やっ、ちょっ、なに?!

恋愛漫画に出てきそうな甘々なセリフは!

それってさぁ、私に会いたかったって解釈でいいんだよね?



あのイジワルで怖いアーラが、まさかそんなことを思ってくれているなんて……。

やだ、なんかちょっと嬉しい。



「なんてな。嘘だよ」

「……はぁ」



って、そりゃあないでしょうよ。

浮かれてた私が馬鹿みたいじゃん。



「まぁまぁ。座って話しでもしようぜ」

「え……あ、うん?」



土手沿いを歩いていると、らしくないことを言いながらアーラが足を止めた。

彼と同じように、柔らかい草で覆われた斜面に腰を下ろした。



なんだろう……。

なんか怖いなぁ。



「そんなに警戒すんなよ」

「だって……。アーラがアーラらしくないんだもん」

「俺だってのんびりしたい時があるんだよ」



のんびり……ねぇ。

まぁ確かにここなら、ゆったり流れる雲とか、夕日に照らされてキラキラ光る小川とか。

風に揺れる草花だったり、川釣りを楽しむ人影があったり。



そんな、癒やされる場ではあるけどねぇ。




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