悪魔くんとナイショで同居しています




ん?

待てよ、川釣りを楽しむ人影って……。



河川敷で釣りをしていたのは、よくよく見れば垣内くんと田村くんじゃないか。



「あのー……やっぱり、場所変えない?」



やだなぁ、アーラと二人で並んでいるところなんて見られたら……。

絶対にまたからかわれるよね?

ってゆうか、カツアゲとかされそうなんだけどぉ。



「なんで?いいじゃん、ここ」

「他にものんびり出来る場所はあるからっ!」



早く、早くこの場を離れなきゃ二人に気付かれちゃうよぉ。

いくら遠目だからって、アーラは何かと目立つから。



必死になって説得しても、

「魔界では見れない景色だからな」

目線すらも合わせてもらえず……。



「そうなんだ?」



仕方ない、アーラの気が済むまでここにいるしかないか。

逃げるなんて選択は、私には出来ないから。



アーラは遠くでせせらぐ小川に目をやりながら、

「人間界に来ることは二度とないだろうからな」

しみじみとそんなことを口にした。




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