悪魔くんとナイショで同居しています




「それは嫌だなぁ。それなら私も、アーラがいる魔界に行きたいよ」



だって前に言っていたよね。

魔界はパラダイスなんだって。



『魔界には何でもあるぞ?金も、宝石も、食べ物も。女だってわんさかいるぞ?』



アーラは確かにそう言っていた。



「なんだよ?もう命乞いはしないのか?」

「しないよ。だってもう、覆すことは出来ないんでしょ」



そりゃあ死ぬのは怖いし、まだまだやりたいことだってある。

嫌に決まってる。

本当は泣いてすがりつきたいし、命乞いもしたい。



けど、どうしても運命に逆らえないことは分かってるから。



「それに私が死ななきゃアーラの身が危険なんだもんね?」



悪魔召喚術を行った術者以外の人間に、悪魔であることを知られるのは重罪。

次咲くんに借りた古書にもそう記されてあったし、何よりアーラ自身がそう言っていた。



「それなら私は逃げも隠れもしないよ。自分の運命を受け止めるから」



だったらアーラの為だと思うことにするよ。

無意味に死ぬよりずっとマシだ。



それに……そうすることしか道は無さそうだから。

いくらアーラと親しくなったって、運命を変えられることは出来ない。

ひたすら目を背けてきたけど、ずっと前から気付いていた。




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