悪魔くんとナイショで同居しています
「んだよ」
「あそこっあそこっ!」
「なんだ?川がどうした?」
アーラは明らかに面倒くさそうにしていたけど、それについては見てみぬふりをして……。
河川敷の方向に指を差した。
「うん、人間が三人いるな。それがどうした?」
「あぁっ…!ほら、あれっ!やっぱり喧嘩してるよ!」
佐々原くんが田村くんに向かって、いきなり棒のような物を振り下ろした。
「どっ、どどどどうしよう!」
止めなきゃ、止めなきゃ止めなきゃ!
でも相手は喧嘩番長と呼ばれていて、しかも武器を手にしてるんだよ?
私みたいなひ弱な女子がどうやって止めれるの?!
きっとアレは、田村くんに扮したアーラにボコボコにされた件の報復だ。
「アーラ、アーラなら佐々原くんを止められるよね?!」
佐々原くんは倒れ込んだ田村くんに、尚も追撃を続けている。
挙句、止めに入ろうとする垣内くんにまで牙を向け始めた状態だ。
私なんかが止められる状況じゃないのは一目瞭然。
ここは……アーラに頼むしかない。
アーラはため息を交じらせながら、
「お前なぁ、俺に助けを乞うのはヤメろ。そんな面倒なことするわけねぇだろ」
予想していた通りの答えをくれた。