悪魔くんとナイショで同居しています
「お前が出る幕じゃない」
「でもっ……」
「黙ってろ」
アーラは倒れ込んだ田村くんを遠目で見ながら、手首を掴む手に力を込めた。
なによそれ……。
このまま惨劇の一部始終を見てろって言うの?
「やだ!お願いだから離してよアーラっ!」
手を押しても引いても、振り回そうとしても全く動かない。
「ねぇ!アーラ!お願い!このままじゃあ田村くんが……!」
片手で肩を叩いても、アーラは手首を離すどころかまるで知らん顔をしている。
アーラは私の問いかけに答えようとはせず、真っ直ぐに田村くん達を見据えていた。
そして無言を貫いたまま佐々原くんを指差し、
「壊れろ」
低く小さな声で、何でも壊すことが出来る悪魔の力を発動させた。
「ちょっ、アーラ!何を!?」
もしかして佐々原くん自身を壊すつもりなんじゃ?!
悲鳴にも似た声を上げてしまった直後のことだった。
佐々原くんが手に持っている、鉄パイプのような物が砕け散ってしまったではないか。
それによってら佐々原くんの、猛攻の手がやっと止まった。