悪魔くんとナイショで同居しています
これは……早く教室から出た方が良いパターンだよね。
罵詈雑言の嵐になる前に。
ちくちく刺さる視線、こそこそ聞こえる愚痴に耐えかね、止まっていた足を出口に向けて動かした。
すると麻里子ちゃんの隣を横切った時。
何かにつまずき、机をなぎ倒しながら激しく転倒してしまった。
「いっ……たぁ」
なんなの?
何が起きたの?
振り返ると、笑顔の麻里子ちゃんと目が合った。
彼女の仕業だ。
麻里子ちゃんに足をかけられたみたいだ。
「ねぇ見た〜?今の転け方。キモイんだけど」
「超ウケるーっ!」
教室内は一気にクラスメート達の笑い声で満たされてしまった。
皆の前で派手に転んでしまった恥ずかしさ。
笑い者にされた辛さ。
打ち付けた肘や膝に走る痛み。
そして誰も、味方なんていないんだって寂しさ。
様々な感情が入り混ざり、涙が込み上げてくる。
潤んだ視界の中で、床に落ちた教科書を拾い上げ教室を飛び出した。