悪魔くんとナイショで同居しています
03
変わりゆく感情
私は決めたんだ。
どうせ死ぬなら魔界に行って、アーラと共に生きると。
もう迷いは無い。
「おいっ」
靴箱の中にあった大量の砂を取り除いていると、背後から声をかけられた。
男の割には比較的高めのこの声は確か……
「垣内くん?」
砂にまみれたスリッパ片手に振り返ると、眩い金髪の垣内くんと目が合った。
わぁ……垣内くんから話しかけられるなんて。
こんな珍しいことってある?
なに?
そう聞き返すよりも先に、垣内くんが口を開いた。
「最近、黒羽とよく一緒にいるみてぇだけど。アンタ、もやしの彼女じゃなかったのかよ」
「えっ……」
もやし、なんて呼び方久しぶりに聞いたよ。
田村くんと園山くんが居なくなって以来かもしれない。
「違う……けど」
「はぁ?だってアンタら付き合ってたんだろ?」
それも……久しぶりに聞かれたなぁ。
次咲くんと付き合ってるだなんて噂、もうほとんど耳にしなくなったから。
逆に、別れたって噂は流れているけどね。