悪魔くんとナイショで同居しています
「おいおい、泣き過ぎだろ。何が涙で何が鼻水か分からねぇから」
アーラはため息を吐くと、軽やかに立ち上がった。
平然と制服についた砂ぼこりを払う様子から、やっぱり殴られたダメージは無いみたいだ。
良かった……。
それなら少し安心した。
「血がっ……血がたくさん出てるよ!すぐに手当てしなきゃ!」
急いでポケットからハンカチを取り出し、傷口に触れようと手を伸ばす。
「いらねぇよそんなもん」
手を弾かれた拍子に、ハンカチを落としてしまった。
「駄目だよ!ちゃんと傷口は洗わなきゃ!来て、水道で洗おう!」
悪魔だから痛みに強いのかもしれないけど、顔面を血だらけにしていて放っておいていいはずがないじゃない。
「必要ねぇから。これくらいの傷なんて、悪魔にとっては蚊にさされたようなもんだ」
「それでも手当てはしようよ!」
「しつけーんだよお前。いらねぇっつってんだろうが」
無理矢理腕を掴み、渾身の力で引きずるように歩き出した。
校庭のど真ん中でなんだかんだと一悶着しながらも……。
なんとかアーラを保健室まで誘導することに成功した。