悪魔くんとナイショで同居しています




「あら!あらあらあら!どうしたの?」



保健室の扉を開けると、保険医が開口一番にそう言った。

そりゃあそんな反応にもなるよね、明らかに殴られましたって顔だし。




「こ、転けたみたいです!手当てしてあげて下さい!」

ムスッと眉を寄せているアーラを、無理矢理椅子に座らせた。



うぅ……振り返らなくても睨まれていることが分かるよ〜。

余計なことしてんじゃねぇよ、って思ってるよね絶対に。



保険医は慌ただしく救急箱を取り出し、

「どんな転け方したらこうなるの〜?かなり痛かったでしょう」

ふてくされたアーラの口元に、消毒液を湿らせた脱脂綿を当て始めた。



「はい!応急措置終わり!それだけあちこち切ってたら、しばらくは痛むだろうからね」

「あ、ありがとうございます……」



って、なんで私がお礼言ってんのよ。



「そうそう、二十日さん。私ちょっと職員室で仕事があるから……」

「はぁ?」



窓際のベッドに冷凍庫があるから、そこからアイスノンを出して腫れている患部を冷やしてあげて。

だなんてさらりと言って立ち去ってしまったけど……。



私が?

私がソレをやらなきゃいけないの?




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