悪魔くんとナイショで同居しています
「ちゃんと掴まってろよ」
「待って!それは駄目っ!それだけはぁっ」
高所恐怖症の私にとって、アーラがやろうとしていることは拷問だ。
これは……なんとしてでもアーラから逃げなくては。
必死に手足をばたつかせてみるものの、悪魔の腕力には到底敵うはずもなく。
腕の中にすっぽりと収められたまま、アーラは翼を広げ窓へ突進していった。
ちょっ?!
カラスでも猫でもないのにっ、そんな大きな翼で窓をくぐれるわけ無いじゃんっ。
「ぶっ……ぶつかる!」
「ぶつからねぇよ」
「……へっ?」
閉じた瞳を恐る恐る開けてみると、そこにはもう夜空が広がっていた。
足元に視線をやれば、自宅の屋根が見えた。
壁をすり抜けたってこと?
じゃなきゃぶつからずに外へ出るなんて……ありえない。
「お前もそろそろ、ビルの屋上に登りたいだろうと思ってな」
「やっ……思わない思わない!」
「まぁそう遠慮すんなって」
だから私っ。
高所恐怖症なんだってば!