悪魔くんとナイショで同居しています
みるみる上昇する景色。
それと同時に、目も開けていられないほど打ち付ける風。
「無理っ……もう降ろして」
見渡す限りに宝石を散りばめたかのような、息を飲むような光景が広がっているけど。
それどころじゃない。
数々の高層ビルよりも高い位置にいるってだけで頭がくらくらしてきた。
「こんな所で降りたいのか?」
「違うっ!違う違う違うっ。ここでは降ろさないで!絶対に降ろさないで!」
ビルよりも高いここで降ろされようものなら、間違いなく即死だよっ!
察してよ、私は一刻も早く帰りたいのっ!
「分かった。じゃあ一番高いあそこで降ろしてやるよ」
「なっ……!やだっ!無理っ!本当にやめてぇぇっ!」
アーラは高らかな笑い声を夜空に響かせながら、世界一と言われる電波塔へ翼をはためかせた。
「はぁぁぁあぁ……」
鉄製の柵で囲まれただけのソコに降ろされると、全身の力が一気に抜けた。
「こんなことで腰を抜かすなんてな。呆れて物も言えねぇよ」
言葉通り呆れている様子のアーラに、言い返す余力さえ残されていなかった。