悪魔くんとナイショで同居しています




「次咲くん……以外に歩くの早いんだなぁ」



だってまだ、放課後を告げるチャイムが鳴ってさほど経っていないのに。

走って校門まで来たけど、彼の後ろ姿はどこにも見当たらなかった。



いつもだったら……

ヤンキーのカバンをたくさん持たされて、ゆっくり歩いているのになぁ。

早く歩けだなんて罵られている光景を、毎日のように見てたから。



「もしかして……」



そういえばヤンキー達が、次咲くんに言っていたっけ。

今度は屋上でね、って。



まさか、まさかだよね?

なんだか嫌な予感がする。



次咲くんだけならまだしも、ヤンキー達の姿もない。

校門でたむろするのが日課なくせに、今日に限って誰もいない。



「次咲くん……」



妙な胸騒ぎを覚え、くるりと身を翻すと屋上まで走った。



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