悪魔くんとナイショで同居しています
「あぁ……でも、凄い……」
怖い。
恐怖で足がすくむけれど、目の前に広がる夜景に思わず目を奪われてしまった。
立ち上がることさえ出来ないと思っていたのに。
目を開けることすら出来ないと思っていたのに。
それらを自然とさせるような、吸い込まれるような魅力がそこにあった。
「魔界では見れない景色だな」
「そっかぁ……」
魔界には建造物は無いってことなのかな。
そもそも大工さんすらいないよね、きっと。
と言うことは……この夜景を見るのはもう最後ってことなのか。
そう思うと急に切なくなってきた。
柵を握る手にも力がこもる。
「ねぇ、アーラ……」
「なんだ」
怖いとばかり思って見ようともしなかった。
でもこうやってその目でしっかり見てみれば、怖いばかりじゃないんだね。
「夜景がこんなにも綺麗だなんて……アーラがここに連れて来てくれなかったら、そんなこと思いもしなかったよ」
「そりゃあ良かったな」
いや、ぜんっぜん良かっただなんて顔してないじゃん。
チッ、もっと怖がれよつまんねぇ。
顔にそう書いてあるから。