悪魔くんとナイショで同居しています




「大丈夫だよぉ。だってアーラが一緒にいてくれるんでしょっ」



止まれ止まれ……涙なんか止まれっ。



「そうだな。そういう約束だったな」



なら寂しいことなんてない。

紗千やお母さんとは離れても、一人ぼっちじゃないんだ。



「アーラの為だもんねっ。アーラは私を殺さなきゃ、殺されちゃうんだもんねっ……」



だったら良いじゃない。

決して無駄死になんかじゃない。



「そうだな。それは避けられないだろうな」



泣くな泣くな、涙よ止まれ!

笑え……笑わなきゃアーラだって困ってしまう。



「だったら私がアーラの変わりに死ぬよ。そしたらアーラを守れるんだもんねっ」

「もういい。思ってもいないことを口にするな」



満面の笑みを作ってみたけど、それも強がりだとすぐに見抜かれてしまったようだった。

アーラは深いため息をこぼし、視線を外した。



すっかり呆れた様子のアーラの視線を辿るように、私も夜景に目を向けた。



するとアーラがぽつりと、

「お前って本当に変な人間だよな」

嫌味とも解釈出来る発言をした。




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