悪魔くんとナイショで同居しています




「……いない?」



恐る恐る屋上の扉を開けると、そこには誰もいなかった。



「なんだぁ……良かった」



これでもドアノブを回すのに、かなりの覚悟を要したんだから。

緊張して損したよ、全く。



じゃあやっぱり帰ったのか。



「まぁいいや……もう何も聞かないでおこう」



次咲くんを探すのは辞めよう。

昨夜の出来事は夢。

真相がどうであれ、そう思うことにしよう。



もう帰ろうと振り返った時、

「ぎゃあっ!」

いつの間にか背後にあった人影に飛び上がった。



「くっ、くくくく黒羽くん?!」



いつの間に後ろにいたの?!

音も気配も感じなかったんだけど?!




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