悪魔くんとナイショで同居しています
次咲くんにはもう嫌われているかもしれない。
余計なお世話なのかもしれないけど……。
「私が次咲くんを助けたいの」
それでも次咲くんは私の友達なんだ。
彼もまたアーラと同じように、私のそばにいてくれた大切な人なんだから。
垣内くんなんかに負けない。
絶対に負けない。
肩を掴んで離さないアーラに、強い口調で行かせて欲しいと訴えた。
すると何か通ずるものがあったのか、ようやく肩を離してくれた。
「非力な女がケンカ慣れした男に勝てるわけないだろ。あまりに無鉄砲過ぎる、奏はここで見てろ」
「えっ?ちょっ、どうするつもり?!」
アーラは振り返ることなく、野次馬をするクラスメート達の中を突き進んで行った。
慌てて背中を追いかける。
そして人と人の狭い隙間から見えたのは、アーラが垣内くんの手首を掴む姿だった。
「テメェ黒羽っ!何なんだよ!」
クラスメート達も、アーラの奇行にざわつき始める。
中でも一番驚きを隠せない様子だったのは、
「だ……だだだだだ大悪魔様……」
垣内くんとアーラを交互に見つめる、半泣き状態の次咲くんだった。