悪魔くんとナイショで同居しています




その日は一日、アーラは英雄のように扱われていた。



「あの垣内くんの手を止めるなんて!かっこいい〜っ!」

「凄いね!今まで誰もそんなこと出来る人はいなかったのに!」

「かっこ良かったよ〜!」



なーんて女子にもてはやされ、黒羽くん人気はうなぎ登りな感じに。



悪魔は優しさの欠片もないと豪語していた次咲くんでさえ、

「ありがとうございます。本当にお優しいですね」

なーんて調子の良い事を口にしていたり。



まぁ、びっくりするぐらい和やかな雰囲気で。

かつ平和に過ごせたから、良しとするか。



「ありがとうね、アーラ」



和やかな雰囲気をキープしたまま放課後を迎え、土手沿いを歩きながら彼の横顔を見上げた。



私も……次咲くんを助けてくれた件のお礼を言っておかなくちゃ。



ありがとうなんて言うと、

「いらねぇよそんな言葉。聞きたくねぇ」

決まってそう顔を背けるよね。



その相変わらずな反応が何だか面白くて、込みあげる笑いを抑えられなかった。




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