悪魔くんとナイショで同居しています




「なに笑ってんだよ。なんか腹立つんだけど」

「あっ、いや!決して馬鹿にしてるとかじゃないからっ」

「ふーん、あっそう。ならいいけど」



疑いの眼差しを向けられたけど、満面の笑みで誤魔化した。



アーラは深いため息をこぼし、

「……ここから先は一人で帰れよ。じゃあな」

冷たい口調で吐き捨て歩を速めた。



「あ、待ってよ。どこに行くの?」



急に道から外れ、茂みの中で猫に姿を変えようとしているアーラの肩を掴んだ。



「ごめんなさい。怒らせちゃった?」

「……別に」



別にって……。

その冷たくもあり、どちらとも解釈出来る曖昧かつ短い返答。



それってさぁ、会話する気ないってことじゃんかぁ。

明らかに不機嫌になっちゃってるじゃんかぁ。



「アーラは相変わらずアーラだなぁって思っただけだからっ。馬鹿になんてしてないよ?」



だから一人で帰れ、だなんて言わないでよ。

一緒に帰ろうよ。

そう言おうと喉まで出かかったけど、急に恥ずかしくなってきて寸前のところで飲み込んだ。




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