悪魔くんとナイショで同居しています
「えぇーっ……」
ったく、ジュースくらい自分で買いに行ってくればいいのに!
机の上に置いてある財布を引っ掴み、
「仕方ないなぁ。何がいるの?」
いつもなら断る仕事を引き受けてあげることにした。
「ごめんねーっ、ありがとう奏」
「はいはい。お金は後でちゃんと返してね」
「分かってるよ、倍にして返すから」
スポーツ飲料が無性に飲みたいお母さんの為に、すっかり暗くなった夜道を歩き始めた。
あぁー……怖い。
いくら外灯があるとは言え、やっぱり暗いとオバケとか出そうで気が気じゃないな。
でもお金を倍にして返してくれるならいいか。
これはもう……五倍くらいの額を請求しなきゃな。
よしっ、早く行って早く帰ろう。
視線の先にある自動販売機へ歩を速めた。
「ん……?」
前から歩いてくる人影に思わず足を止めた。
あのキノコ頭の、ひょろりとした体型の人は……。
「次咲くん?」
「あ、奏ちゃん……」
缶コーヒーを片手に持つ次咲くんも、同じように足を止めた。