悪魔くんとナイショで同居しています
「ごめんっ、次咲くんから先に話していいよっ」
「え?いや……奏ちゃんからどうぞ」
「私っ?うん……分かった。あのね」
財布を握る手が汗ばんできた。
たった一言ごめんなさいって言うだけなのに。
久しぶりに顔を合わせたせいか、緊張してなかなか言葉が出てこない。
それでも言わなきゃ。
覚悟を決めて言おうと口を開いた瞬間、黙っていたままだった次咲くんが先に言葉を発した。
「奏ちゃん……ごめんなさい。本当はずっと謝りたかったんだ」
「えっ?いやっ、それは私が言おうと思ってたんだけどっ?!」
「え?そうなの?」
俯けていた顔を上げると、またもや同じタイミングで顔を上げた次咲くんと視線が重なった。
いや、さっきからどんだけタイミングが被ってるの?
ってゆうか、考えてることまで同じだったんだ。
緊張の糸が切れたせいか、急に笑いが込み上げてきた。
「ぷっ……あはははははっ!」
何よそれぇ。
だったら緊張しなくても良かったんじゃん。
抑えることが出来ずに吹き出してしまうと、
「あはっ。ハハハハハ!」
次咲くんもつられて笑い声を上げた。