悪魔くんとナイショで同居しています





「ごめんね、次咲くん。私のこと、心配してくれていたのに……」

「いや、謝るのは僕だよ。声を荒げたりしてごめん」



沢山悩んだんだよね。

奏ちゃんも、辛くて悲しくて仕方ないんだよね。

すぐに気付いてあげられなくてごめん。



そんな次咲くんの優しい言葉に、みるみる視界が霞んできた。



あぁ、やっぱり次咲くんは次咲くんだ。

思いやり溢れる、優しい次咲くんだ。



「確かに奏ちゃんが言うとおり……大悪魔様にも優しい所はあるのかもしれない。そう、思うようになったんだ」

「うん…。次咲くんのことも助けてくれたもんね」



目頭を熱くする涙を雑に拭くと、下を向いたままの次咲くんに笑いかけた。

すると私の視線を感じたのか、次咲くんはゆっくりと顔を上げた。



「でも僕はやっぱり奏ちゃんに……」

「大丈夫!大丈夫だよっ、次咲くん!」



奏ちゃんに行って欲しくない。

そう言おうとしていたことがなんとなく分かって、咄嗟に言葉を被せた。





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