悪魔くんとナイショで同居しています
「それは無理だな。俺が少し手を加えたことで、アイツの未来はもう変わってしまったんだよ。今更どうにもならない」
「そんなぁ……」
がくんと首を垂らした次咲くんは、今にも泣きそうになっていた。
今更どうにもならない、ということは。
垣内くんは不幸になる道しか用意されていないということだ。
アーラは項垂れる次咲くんの肩を叩き、
「お前が俺と契約を結ばなければ、垣内は佐々原達と共に高校を卒業し、やがて就職。家庭を持つ……そんな平凡かつ幸せな未来だったんだぞ」
罪悪感に押し潰されそうな次咲くんに、追い打ちをかけるような言葉を囁いた。
「あぁぁ……わぁあぁああああっ!」
「あっ、次咲くん!」
次咲くんは突如として悲鳴にも似た声を上げると、学校に向かって全力疾走した。
追いかけようと思ったけど、そのあまりの猛スピードに追いつくのは無理そうだ。
後を追うことを断念し、
「アーラ……。どうしてあんなことを」
走り去る次咲くんの背中を、無表情で眺めているアーラを見上げた。