悪魔くんとナイショで同居しています
「あっ、黒羽くんおはよう!」
「うん、おはよう皆」
爽やかに微笑むアーラの周りに、あっという間に人だかりが出来た。
相変わらず凄い人気だなぁ。
もはや、どっかのアイドルかって疑うレベルで。
「チッ……気に入らねぇ」
垣内くんはチヤホヤともてはやされるアーラを横目で睨みながら、舌打ちと共に低く呟いた。
そうも思うのは無理もない気がする。
今やクラスメートに嫌われている垣内くん。
そんな彼にとって、好かれ愛されているアーラは目障りで仕方がないんだろうな。
垣内くんは憎悪と嫉妬に塗れた眼差しをアーラへ向け、スクールバッグを思い切り投げ付けた。
「きゃああぁっ!」
「うわぁっ、なんだなんだ?!」
バッグは真っ直ぐに人混みを突き抜け、音を立てながら壁にぶつかった。
「いきなり何てことするんだよ、垣内くん。危ないじゃないか」
叫びながらクラスメート達が離れる中、アーラだけは違った。
「物は粗末にしたらいけないんだよ?」
そうニヤリと微笑みながら……。
無惨に転がったスクールバッグを拾い上げた。