悪魔くんとナイショで同居しています





「テメェこの野郎っ…。離せよ!」



しかしアーラは薄ら笑いを浮かべるだけで、掴んだ手首を離す気配はなさそうだ。



もしかしてこれって……。

アーラが田村くんに変化した時、佐々原くんを殴ったパターンと同じだ。



ってことはもしや…垣内くんに攻撃を加える気なんじゃ?!



「あっ、アーラ駄目っ……!」



不敵に微笑む姿に嫌な予感がした。

“黒羽くん”と呼ばなければいけないことも忘れ、悲鳴が鳴り止まない教室に声を響かせた。



アーラは垣内くんの膝蹴りがヒットするよりも早く、ボディブローを打ち込んだ。



「ぐはぁっ……!」



垣内くんは唸り声を上げ、痛みのあまりにうずくまってしまった。

教室の四方八方から悲鳴が上がり、クラスメート達はパニック状態だ。



あの爽やかかつ優しい黒羽くんが、誰かを殴るなんて。

クラスメート達も我が目を疑っているようだった。



アーラはうずくまっている垣内くんに合わせてしゃがみ込むと、

「殺すぞ」

恐ろしく冷たい眼で、低く無機質な声で囁いた。




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