悪魔くんとナイショで同居しています
垣内くんは悪魔の禍々しい気を感じ取ったのか、
「ひっ……」
さっきまでの威勢はどこへやら、情けない声を上げて後退りした。
壁まで下がるとくるりと身を翻し、
「ひぃぃぃいっ!ばっ、化け物ぉぉおぉっ!」
泣き叫びながらバタバタ逃げ出してしまった。
そしてクラスメート達も、悪魔の殺気を敏感に感じ取ったようで……
教室内の空気は凍りついていた。
アーラ…。
クラスメート達が見ている中で、どうしてあんなことを?
誰もが、あの真面目な黒羽くんが何で?
って不審な目を向けているよ。
「なんか……黒羽くん、様子がおかしかったよね?」
「うん、凄く怖かったよね……」
アーラまで教室を出て行ってしまった後、しばらく“黒羽くん”の話題でもちきりだった。
きっともう彼らの目には、
『爽やかで優しい黒羽くん』
は居なくなってしまったのかもしれない。
「実は…黒羽くんってヤバイ人なんじゃない?」
そんな声が絶えず聞こえていたから。