悪魔くんとナイショで同居しています
「あの……。ごめんなさい、アーラって呼んじゃった」
ドキドキしながら頭を下げたものの、
「いいよ別に」
その意外なまでにもアッサリとした反応に、ついつい間抜けな声が漏れた。
「へ……?」
あれほど、外ではその名を口にするなって言っていたのに?
「もう契約は果たされたからな。明日、俺は魔界に帰る」
「えっ?」
契約は果たされたって……。
垣内くんはもう、不幸になったってこと?
逮捕された佐々原くん。
半身不随になった田村くん。
両親に捨てられた園山くん。
そして、クラスメート達からただ嫌われただけの垣内くん。
不幸極まりない三人と比較すると、垣内くんだけ随分と軽いなぁ。
何故垣内くんだけ、その程度で終わらせたんだろう?
そんな疑問に首を傾げていると、アーラはまた黒いメモ帳を取り出した。
「垣内はこの後すぐ退学する。そして俺にやられたことが原因で、今まで築き上げてきた地位も、権力も全て失うことになるんだよ」
地位も権力も、か。
確かに…あれほど威勢良くケンカを仕掛けたのに。
あの逃げ方は相当かっこ悪かったとは思うけど。