悪魔くんとナイショで同居しています




背筋が凍るような感覚が走った。

途端に体が震えだす。



「あっ……貴方はもしかして……」



そういえばこの美しい容姿。

どこかで見たことがあると思ったら……。



「そうだよ。上級悪魔のアーラだ」



彼はにやりと口角を上げると、八つの翼をずらりと出現させた。



そんな……黒羽くんが、悪魔?

嘘だ。

だってアレは夢だったんだ。



「どうした?腰が抜けたか?」



私の目線に合わせてしゃがみこんだ彼の、長い爪が頬を走る。

ちくりと脈を打つ鋭い痛みにすら、声を上げることが出来なかった。



嘘だ。

悪魔だなんているはずがない。



ねぇ、これも夢だよね?

私……長い夢を見ているだけだよね?




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