悪魔くんとナイショで同居しています
「……はぁ」
何やってんだろう…私。
今日で最後の学校だっていうのに。
登校時間はとっくに過ぎているのに、土手沿いで腰掛けていた。
風になびく草木。
きらきらとせせらぐ小川。
川辺で釣りを楽しむ人影。
ここは、以前にアーラと並んで座った場所だ。
そして紗千とも…たくさん会話をした場所でもある。
だって、こんなに美しい景色を見ることはもうないんだもんね。
この目にしっかりと焼き付けておかなきゃ。
「あはは…。また涙が出て来ちゃったよ」
どれだけ泣けば涙は枯れるんだろう。
「って……泣いてる場合じゃないよね」
そろそろ学校に行かなきゃ。
みんなに…みんなに会いに行かなきゃ。
「……よしっ!行っくぞーっっ!」
両頬をバシンと叩くと、人目もはばからず気合いの入った声を張り上げた。
もう泣かないっ!
最後くらいは笑って過ごさなきゃっ。
悲しい思い出で終わらないように。