悪魔くんとナイショで同居しています





「そう……だよね!」



次咲くんは今にも溢れ出しそうな涙を慌てて拭うと、ぎこちなく笑い返してくれた。



「奏ちゃんが悪魔になっちゃったら……僕、また魔法陣を書くよ!そして奏ちゃんと契約をする!」



…次咲くん。

また涙が溢れ出しそうになってる。



「うん…ありがとう」



それでも無理矢理笑おうとする姿を見ていたら…。

私まで泣きそうになってくるよ。



「ずっとずっと人間界にいて欲しい、ってお願いするから!」



奏ちゃんが帰ってこられる場所を僕が作るんだ。

僕が必ず連れ戻すから!



次咲くんのそんな優しく暖かい言葉に、我慢していた涙がこぼれ落ちた。



「うんっ。待ってる、絶対絶対待ってるからね」

「約束するよ、奏ちゃんっ……!絶対に、絶対!」



強く噛んだ唇を震わせながら、涙を流した次咲くんを私は忘れない。

私を連れ戻すと言ってくれたことも。



絶対に忘れないからね。




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