悪魔くんとナイショで同居しています





「これは契約の代償だよ。ほら、僕の大切なものを貰うって大悪魔様が言っていたでしょ?」

「あぁ…なるほど。それでこれを」

「……はぁ。僕の宝物なのに」



紙袋から丁寧にDVDを取り出す次咲くんの横顔は、心なしか悲しそうだった。

まぁまた頑張って買えばいいじゃん、なんて思ったけど……。

あえて何も言わないでいた。



「よぉ。お前ら、ちゃんと遅れずに来たんだな」



ん…この声は?

どこからともなくアーラの声が聞こえたかと思ったら、空でも飛んでいたのか頭上から降りてきた。



アーラは八つの翼を出現させたまま、

「ほぉ、もう準備は出来てるみたいだな」

ちらりと魔法陣に目をやった。



「…はい。ちゃんと、大切なものも持って来ました」

「じゃあ、さっそく始めるとするか」



いよいよ…

魔界に行く時がやって来たのか。



アーラは魔法陣の真ん中に立つ次咲くんを、円の外から眺めながら片手を高々く空にかざした。



「わわっ……!」



すると突然、目が眩んでしまうほどの閃光が空を走った。




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