悪魔くんとナイショで同居しています




「なっ…なんで?私、ちゃんと真面目に働くから!何でもする!召使いでも構わないっ!ねぇ、だからお願い。魔界に行けば、私を側近にしてくれるって言ったじゃない!」



じゃあ私は一人でオバケにならなきゃいけないの?

誰一人として知り合いがいない、暗い世界に行かなきゃいけないの?



そんなの嫌だ!

嫌だ、嫌だ私はアーラのそばにいたい。



「違う、そうじゃない。俺はお前をどうしても殺すことが出来ないんだよ」

「………え?」



涙で濡れた顔を上げると、すぐ近くで目が合った。

アーラもまた、切なげに眉を下げていた。



「いつの日かお前を傷つけたくないって思うようになった。俺が守ってやりたいって、そう思うようになったんだよ」

「え?アーラ…?」



あのイジワルで、何かにつけてすぐ殺すだなんて脅してきたアーラが?

私の悲しむ顔を見て笑っていたアーラが?



嘘だ……ねぇ、嘘なんでしょ?

私をからかってるんでしょ?



じゃなきゃ変だよ…。

こんなアーラは、アーラらしくないよ。




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