悪魔くんとナイショで同居しています





「アーラは本当は優しい悪魔なんだって思い始めた時から……好きだったよ」



好きなんて言ったって…。

アーラには分からないかもしれない。



でも、伝わらなくたって言わなきゃ後悔すると思ったんだ。



背中にぎゅっと手を回した。

アーラもまた、同じように強く抱き返してくれた。



「泣くんじゃねーよ。鼻水が付くだろうが」

「泣くよっ!そりゃあ泣くに決まってるよぉ」



きっともう会えない。

アーラに触れられるのも、声を聞けるのもこれが最後なんだ。

そんな気がするから。



「お前に……一つ謝らないといけないことがある」

「うん……なに?」

「最初はお前を、どうにかして魔界に連れ帰ろうと思ってたんだ」



言葉巧みに誘導して、お前が魔界に行きたいと言った時。

正直、俺の思惑どおりだと思った。



いつになく穏やかな口調で、時折ため息を混じらせながら…。

ところどころで言葉を詰まらせながら、ぽつりぽつり話し始めた。




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