悪魔くんとナイショで同居しています





「すまなかったな。お前は生きろ。俺はもうお前を守ってやれないけど、強く生きていけ」



お前は無鉄砲過ぎるから心配だけど。

なんて笑っているけど、私の肩に一粒の雫が落ちたことを見逃さなかった。



「大好きだよ、アーラ」



アーラの声も。

匂いも、体温も。

何もかもが好きだと思うようになっていたの。



「さっき聞いたから知ってるっての。何度も言うな」

「ずっと一緒にいたかった。そばにいるって言ってくれて、本当に支えになったし嬉しかった」



離れたくない。

だから私も魔界に行こうと思ったの。



「俺がいなくても、お前にはクラスメートや翔太がいる。ほら、校門の方を見てみろよ」

「校門……?」



アーラに促されるままに校門に目をやると、

「奏ーっ!ちょっと!この手紙どういうことなのよ!」

紗千が数人の男女を引き連れて、駆け寄ってくる。



「え?紗千……どうしてここに?」



確か手紙には、校庭で最後を迎えることは書いていなかったはず。

もしかして……次咲くんが?



次咲くんに視線を変えると、涙を拭いながら何度も何度も、それもとびきり明るい笑顔で頷いていた。





< 348 / 360 >

この作品をシェア

pagetop