悪魔くんとナイショで同居しています





「おはよう、奏ちゃん」



小川を横目に土手沿いを歩いていると、背後から明るい声が響いた。



「うん、おはよう次咲くん」



振り返ると、そこにはなんの代わり映え無い笑顔の次咲くんがいた。



次咲くんは柔らかく微笑むと、

「今日は雲一つない快晴だね」

ごく自然に隣を歩き始めた。



アーラのことについて一切触れないのは、私を気遣っているから?



「うん……。そうだね、いい天気」



そういえば、以前にアーラと土手沿いを歩いた時。

同じように、雲一つない快晴な日があったんだ。



その時アーラは首を傾げながら、

『あのもふもふした白い物がない。どこに帰った?奴らの住処はどこにある?』

なんて真顔で言っていたから、なんだかソレが面白くって。



笑ったら怒られるかな?

そう思って必死に笑いを堪えたことがあったっけ。



雲は生き物じゃないんだよって教えたら、

『魔界には似たような生物がいるんだよ』

そんな発言をしていたことを思い出した。



どんな生き物だよって突っ込みたくなったけど、

それも言わなかったんだっけ。




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