悪魔くんとナイショで同居しています





「奏ちゃん?今、大悪魔様のことを考えてるでしょ?」

「えっ?」



なんで分かるの?

すかさずそう聞き返した。



次咲くんは眉を八の字に下げ、悲しそうに笑った。



「僕も、ずっと奏ちゃんを見ていたからね」

「次咲くん……」



そうだ…。

昨夜、アーラが言っていたんだっけ。



次咲くんは、私のことを一番大切に思ってくれていたんだって。

次咲くん本人も、好きだって言ってくれたんだよね。



「ありがとう。気持ちが嬉しいよ」



その気持ちに応えることは出来ない。

あえてそれは口にしなかった。



というか出来なかった。

増々悲しませてしまうと思ったから。



私はアーラが好き。

この先にどんな人と出会っても、きっと彼のことだけは忘れられない。

そう思うくらい…好きなんだ。



「本当に……大悪魔様には大切なものを奪われちゃったなぁ」



笑いながら頭を掻くその姿は、私には強がっているように見えた。



ごめんなさい。

そして、私なんか好きになってくれてありがとう。





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