悪魔くんとナイショで同居しています





「昨日、次咲にとにかく校庭に来てくれって土下座して頼まれたの」



次咲くんが?

驚いて振り返ると、本当のことだよとばかりに頷く彼と目が合った。



「……びっくりしたよ。まさか、黒羽くんが悪魔だっただなんて」

「あ……うん。ごめんなさい、ずっと隠してて」



紗千と私の間に隠し事は無し。

それが、幼い頃からの約束だったのに。



「謝るのは私の方だよ。奏はずっと、皆を守ろうとしてくれてたんだね」



久しぶりに見た…紗千の優しい目にみるみる視界が霞んできた。



「ごめんなさい、二十日さん。私、二十日さんに邪魔されたとばかり思ってた…」

「柏崎さんまで…」



大粒の涙を拭いながら頭を下げた柏崎さんにつられて、我慢していた涙が溢れ出した。



「私も…沢山傷つけてごめん。翼くんが悪魔だなんて驚いたよ」

「麻里子ちゃん…」



口々に飛び交う謝罪の言葉に、涙が止まらなくなった。

またこんな日がくるなんて思ってもいなかったから。




< 356 / 360 >

この作品をシェア

pagetop