悪魔くんとナイショで同居しています
「昨日、次咲にとにかく校庭に来てくれって土下座して頼まれたの」
次咲くんが?
驚いて振り返ると、本当のことだよとばかりに頷く彼と目が合った。
「……びっくりしたよ。まさか、黒羽くんが悪魔だっただなんて」
「あ……うん。ごめんなさい、ずっと隠してて」
紗千と私の間に隠し事は無し。
それが、幼い頃からの約束だったのに。
「謝るのは私の方だよ。奏はずっと、皆を守ろうとしてくれてたんだね」
久しぶりに見た…紗千の優しい目にみるみる視界が霞んできた。
「ごめんなさい、二十日さん。私、二十日さんに邪魔されたとばかり思ってた…」
「柏崎さんまで…」
大粒の涙を拭いながら頭を下げた柏崎さんにつられて、我慢していた涙が溢れ出した。
「私も…沢山傷つけてごめん。翼くんが悪魔だなんて驚いたよ」
「麻里子ちゃん…」
口々に飛び交う謝罪の言葉に、涙が止まらなくなった。
またこんな日がくるなんて思ってもいなかったから。